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『夏時間の庭』 [Cinema]

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 監督:オリヴィエ・アサイヤス

CAST:ジュリエット・ビノシュ、 

ジェレミー・レニエ、

シャルル・ベルリング ほか

2008年 フランス 102分

*あらすじ*

パリ郊外にある、画家であった大叔父のアトリエに一人で暮らしていた母が亡くなり、3人の子供たちには広大な家と庭、そして貴重な美術品が遺される。相続の手続きをする中で、3人が向き合うのは、思い出に彩られた家への愛着と現実とのジレンマ、そして亡き母への想いだった――。

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オルセー美術館20周年企画として全面協力のもとに製作された・・・という宣伝に心惹かれて、観に行ってきました。

ただ鑑賞するのではなく、日常生活の中に溶け込んで、野に咲く花を活ける花器として、あるいは大切なスケッチブックを保管する机として、本来の役割を果たしている美術品たちの姿が、活き活きとして見えたのは、気のせいでしょうか?

これから美術品を見る目が、ちょっと変化しそうな気もします。

そして、美術品と同じくらい、いえもしかしたら、それ以上に美しいのが、この庭! 光に照らされて輝く草花たちが、まぶしいくらいに美しくて、癒されます。。。自然の風景はやっぱりいいですね。

さて物語の中心となる3人兄弟、そして年老いた母。。。

惜しげもなく登場する非日常的な美術品とは対照的に、3兄弟が抱えるそれぞれの事情は、どこにでもある日常の瑣末な事柄を表していて、だれもがいつかは自分も直面する”その問題”について考えさせられるような気がします。

少なくとも、私は(3人兄弟の末っ子で、母はもうすぐ80歳)、この家族の想いと自分の家族のことを重ね合わせるような気持ちになりました。ま、我が家には、莫大な相続税が課せられるような美術品も、広大な屋敷もありませんけれど(苦笑)。

映画の冒頭の美しくノシタルジックなシーンと対照的に、現実的で現代的なラストシーン。

友人たちとのパーティーの最中、孫娘の心の中で、ふと溢れ出す静かな哀しみは、何よりも大切に残したい家族の思い出を象徴しているようで、しみじみとした気持ちになる映画でした。


『ダイアナの選択』 [Cinema]

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監督: ヴァディム・パールマン     2008年 アメリカ  90分

CAST:ユマ・サーマン 、エヴェン・レイチェル・ウッド

*あらすじ*

コネチカット州郊外の小さな町の高校で銃乱射事件が起きた時、17歳のダイアナは親友のモーリーンと女子トイレでたわいないお喋りに興じていた。そこへ銃を持ったクラスメイトのマイケルが現れ、「どちらかひとりを殺す。どっちにする?」と非情な選択を迫り、ダイアナは「殺さないで」とつぶやく。彼女の言葉が引き金となり、新たな人生が始まった、はずだった・・・。

謎めいた結末。本編終了後に謎を解くカギ「監督のキーワード」が現われます。監督の答えへのアクセスはこちらから。

http://www.cinemacafe.net/official/diana-sentaku/index_pc.html

*コメント*

映像が綺麗。とくに冒頭の花のクローズアップは幻想的です。ユマ・サーマンが苦悩を抱えた大人の女性を抑えた演技で表現していて、なかなか見応えがありました。

過去と未来、理想と現実、生と死が交錯しながら、物語は”ダイアナの選択”が明かされる瞬間へ。

そして、決定的なその瞬間、私の頭は「えっ?どういうこと??」って、しばしポカン状態に・・・。今まで数々の映画を観てきましたが、観終わったあとに、こんな謎に包まれたのは初めてのことです。エンドロールの間中もず~っと「???」が渦巻いていました。

そうしてぼんやりと頭に浮かんできたのは、原題「THE LIFE BEFORE HER EYES」。ふ~む、もしや、よもや、そういうことなの??(←って、どういうことなんだか^^;)

ネタバレは差し控えるとして、おそらく観る人によって、さまざまな解釈があってよい映画なのでしょうね。とても哲学的だったり、宗教的だったり、ファンタジックな捉え方もあるかもしれません。

でも、こんな悲劇には決して巻き込まれたくはないですね。。。


『SNEAKERS』 [Cinema]

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監督:フィル・アルデン・ロビンソン

CAST:ロバート・レッドフォード、ベン・キングスレー、リバー・フェニックス、シドニー・ポワティエ

1992年 アメリカ  126分

*あらすじ* 

1969年、コンピュータ・マニアの学生2人が政府機関や大統領の銀行口座に侵入し、寄付と称して大金を動かしていた。ある日この行為が当局の知るところとなり、その一人コズモは逮捕されてしまう。

25年後、サンフランシスコでスニーカーズと呼ばれる集団が活躍していた。彼らの仕事は依頼人のビルに侵入し、警備状況の盲点を指摘すること。メンバーは、いずれも脛に傷もつ男達。ある日、彼らは、NSA(国家安全保障局)からの要請により、天才数学者が作り出したブラックボックスを盗み出すが、それは世界を転覆させかねない究極の暗号解読機だった……。

*コメント*

これ、何度観ても面白いです!理屈抜きに、暗号解読にまつわる、こういうスパイ物系、好きなんです。今回は、たまたまケーブルTVで放映していたのを数年ぶりに観たのですが、ストーリーもネタも全部知っているのに、やっぱり面白くて、画面に釘付けになりました。

私が特にワクワクするのは、シンセサイザーを使って、効果音を創りだしながら、目的地を探し当てるくだり。ま、映画なればこそ可能なコトだとは思いますが、こんな推理方法があるなんて、楽しいじゃないですか♪

今回、新しい発見もありました。悪役コズモを演じているのが、先日渋谷で観た『エレジー』にも出演していたベン・キングスレーだったのです!  この頃は若くて、痩せているので、まるで別人のように見えますが、その演技は実にいい味を出しています。名優というものは、どんな役柄でもキラリと光っているものですね。

疲れているとき、気分転換したいときに、ピッタリな”スカッと爽やか系”な1本です。


『ロシュフォールの恋人たち』 [Cinema]

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監督:ジャック・ドゥミ  

CAST:カトリーヌ・ドヌーヴ、フランソワーズ・ドルレアック、ジョージ・チャキリス、ジーン・ケリーほか

1966年   フランス

*あらすじ*

年に1度の海の祭りに浮かれるフランス西南部の港町ロシュフォールを舞台に繰り広げられる、3組のカップルの恋物語。 

ソランジュ(姉)とデルフィーヌ(妹)は美しい双子の姉妹。ソランジュは音楽家を、デルフィーヌはバレリーナを志し、花の都パリで自分達の力を試してみたいと願いつつ、いつの日か素敵な恋人に巡り会うことを夢見ていた。

一方、姉妹の母親イヴォンヌはカフェの女主人で、10年前に些細な事が原因で別れた婚約者のことをずっと愛し続けている。

それぞれが”素敵な恋人”との出逢いに、胸をときめかせながら、ロシュフォールの町のまばゆいばかりの陽射しを受けて、素晴らしい音楽とダンスが繰り広げられる。。。

*コメント*

衣装がカラフルで、可愛い!ベレー帽をちょこんと頭に載せて、軽やかに踊るシーンなど小粋で、いかにもフランスミュージカルといった感じです。

それにしても、フランスを代表する美人姉妹とアメリカから招かれた豪華キャストの競演!そして、ミシェル・ルグランとドゥミ監督が、『シェルブールの雨傘』に続いてコンビを組んだ、なんともゴージャスな映画ですね。

ドヌーヴは、完璧な美しさと憂いを含んだ眼差しで、観るものを魅了し続ける大女優ですが、この映画では、バレエ教師のレオタード姿の初々しさが印象的。実姉であるドルレアックは、若くして不慮の事故によりこの世を去ってしまっただけに、姉妹が揃ってスクリーンに登場するシーンは、それだけでもお宝映像なのかもしれません。                        


『チェンジリング』 [Cinema]

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監督:クリント・イーストウッド    

CAST:アンジョリーナ・ジョリー  ジョン・マルコヴィッチ  

 2008年  142分

*あらすじ*

1928年。ロサンゼルスの郊外で息子・ウォルターと幸せな毎日を送る、シングル・マザーのクリスティン。ある日、急な仕事が入ったため、ウォルターと映画を観に出かける約束をとりやめ、クリスティンは、職場へと向かう。夕暮れ時に帰宅するが、家で留守番をしていたはずのウォルターの姿はどこにも見当たらない。

誘拐かそれとも家出か。理由がわからぬまま行方不明の状態は続き、クリスティンは眠れない夜を過ごす。そして5ヶ月後、息子が発見されたとの報せを聞き、クリスティンは念願の再会を果たす。だが、彼女の前に現れたのは、最愛のウォルターではなく、彼によく似た見知らぬ少年だった・・・。

*コメント*

 チェンジリングとは、「取替え子」という意味。実話をもとにしたストーリーだとは、信じ難い物語です。 腐敗しきった警察組織と不屈の精神で闘う女性、クリスティン。アンジーの見事な演技で、息子を想う母親の悲痛な叫びが、胸を突き刺します。

中盤から、凍りつくような犯罪と非情なまでのクリスティンの逆境が複雑に交錯しながらも、ウォルター失踪事件の真相は混沌としていきます。

単純なメロドラマでもなく、やみくもに恐怖を煽るでもない、まったく無駄が無く、そして過剰な仕掛けも無い、イーストウッド監督ならではの卓越した演出は秀逸です。緻密な時代考察をふまえた映像も素晴らしい!!

クリスティンは、果たして息子と再会できるのか・・・・。ラストシーンまで、釘付けになることは、間違いありません。


『サウンド・オブ・ミュージック』 [Cinema]

sound-of-music-poster.jpg 監督:ロバート・ワイズ

CAST:ジュリー・アンドリュース、クリストファー・プラマー

1964年 アメリカ   175分

 *あらすじ* 

サウンド・オブ・ミュージック」は、ナチス・ドイツのオーストリア併合を背景に、実在した家族の話を基に作られている。


修道院出身の家庭教師マリアは、厳格なトラップ大佐の7人の子供たちに歌うことの楽しさ、素晴らしさを教え、魅惑的な合唱団を結成する。子供たちの美しいコーラスを聞いた大佐は、心ならずも忘れていた音楽を愛した昔を思い出す。マリアとの出会いによって、この厳格な父親も理解ある暖かい人間に変わってゆく。そして、二人は一緒に踊っているうちに恋に落ち、結婚へ。

オーストリアへのナチス侵攻が迫る中、音楽祭を利用して、トラップ一家は、スイスでの自由を求めてアルプス越えの山道を力強く登っていった。

*コメント*

あまりにも有名なミュージカル作品。たまたま今夜のBS放送で観ましたが、やはり不朽の名作とはこういう映画のことをいうのでしょう。<ドレミの歌>、<My Favorite Things>、<エーデルワイス>など数々の名曲と美しい風景、明るく前向きな主人公の生き方に清々しさを覚えます。

雷の夜に歌う<My Favorite Things>、操り人形のお芝居やおやすみの前の歌のシーンは、子供の頃に初めてこの映画を観たときから、鮮烈な印象が残っていて、今観てもちっとも古びた感じがしないところが、この映画の底力なのでしょう。

音楽のチカラによって、家族の絆が深まり、たくましく生きてゆく勇気が湧いてくる・・・[手(グー)]。観終わった後、文句なしにHappyな気分になれる作品です。


『エレジー』 [Cinema]

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監督:イザベル・コイシェ   2007年 アメリカ  上映時間 112分

CAST:ペネロペ・クルス、ベン・キングズレー、パトリシア・クラークソン、デニス・ホッパー他

*あらすじ* 

初老の大学教授ケペシュ(ベン・キングズレー)は自らの講義を受けている若く美しいコンスエラ(ペネロペ・クルス)に心を奪われ、彼女に近づく。ふたりの年齢差は30歳。はじめは戸惑いながらもやがて、ふたりは互いに強く惹かれあい、恋人関係に・・・。しかしケペシュは若い彼女を前にして、自らの老いを、確実に迫り来る死を、強烈に意識するようになる。いつしか、ともに歩む人生を描くことが出来なくなったふたりは、ある日突然別れることに。幾年かの時が流れ、コンスエラからの電話により、ふたりは再会するが、そのとき彼女は思いがけない重大な悩みを抱えていた…。成功を手にしつつも、人に正面からぶつかることを避けてきたために孤独だった男が、ひとりの女性に出会い、愛することで人生が変化していく人間ドラマ。

*コメント*

ペネロペって本当にきれいですね。映画のワンシーンで、ゴヤの「着衣のマハ」に似ている・・というフレーズがありますが、まさにその台詞どおり”芸術作品”的な美しさにウットリします。

<知的なおじさま×若く美しい女性>の組み合わせという点では、『オータムインニューヨーク』や『ダメージ』と通ずるものがあります。ベン・キングズレーの抑えた演技が作品全体に深みと奥行きをもたらしていて、ラヴストーリーとしても、ヒューマンドラマとしても見ごたえのある作品となっています。

また、中年にさしかかった女性の悩みを味わい深く表現したパトリシア・クラークソンの演技も見事。印象的な主題曲は哀愁漂うピアノ曲。どこかで聴いたことがあるけれど、(サティの曲だったかな??)タイトルが思い出せません。。。 エンドロールの間もずっとこの素敵な主題曲が流れていて、主人公のふたりのこれから・・に思いを馳せながら余韻に浸りました。

生きていること、死ぬこと、そして人を愛するということについて、さまざまな思いが巡る、そんな作品でした。

 


humblemusic.jpg 『humble music』8月10日発売

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