2010ボローニャ国際絵本原画展 [Art]
ジリジリと太陽が容赦なく照りつける真夏の昼下がり、 暑さで溶けそうになりながら、板橋区立美術館へ出かけました。
今年はどんな作品に出逢えるのでしょうか??
人気の少ない館内で、ひっそりと佇む絵本の原画たち。
自由でのびやかな筆遣い、ユーモラスな発想。。。
世界各国の絵本原画を眺めているうちに、 子供のころ、毎月1冊ずつ絵本を買ってもらう約束を母と交わしていて、 次はどの本を注文しようか、真剣に悩んでいたことをふと思いだしました。
私のお気に入りは、アンデルセンの『人魚姫』。子供のころから、 ハッピーエンドよりも切なく哀しい物語に心惹かれる傾向があったようです。。。
今年の入選作品の中でもっとも印象的だったのは、イタリアのフィリップ・ジョルダーノの作品。 (一番手前のポストカードです)
黒を効果的に使った色鮮やかな摩訶不思議ワールド。
某主宰の作曲なさった"cafe riddle"がピタリとハマりそうな作品でした。
作品鑑賞の後、ミュージアムショップで、すぎはら けいたろうさんの絵本(デビュー作)を発見!
昨年のボローニャ展で、すぎはらさんの作品にひと目惚れして以来、注目している御方なのですが、 久しぶりにご本人のHPを覗いてみたら、大阪で個展を催されているようでご活躍の様子で 嬉しい限り♪
これからも、注目していきたいアーティストなのでありました。
若冲アナザーワールド [Art]
♪雨、水曜日の昼下がり~、若冲の展覧会に行きました~♪
はじめて観る若冲の世界に、ドキドキ。アナザーワールドと銘打ったこの企画展は、 水墨画を中心に約170点という作品数、画風、技法、 どれをとっても”どんとこいっ!”ってな具合に、なんともゴージャスな内容でした。
まず、私の目を惹いた『葡萄図』
モノトーンの濃淡だけで表現された繊細な美しさに圧倒されます。 セザンヌも多用した「塗り残し」の技法が使われていることにも驚きです。 だって伊藤若冲は1716年生まれ、18世紀の人ですから。
若冲といえば、華麗な鶏が有名ですが、私にとってそれ以上に魅惑的なモティーフである 白い象もいましたよ~。いや~、すごい迫力デス。
『象と鯨図屏風』 1795年
この絵を前にすると、心の中で”パオ~ン”とつぶやいてしまうのは何故なんでしょう??
80歳近くになって描いた作品と知り、さらに驚きは増すばかり。 伊藤 若冲・・・只者ではありませぬネ。
そして、今回もっとも驚いたのが、絢爛豪華なこちらの作品。
『樹花鳥獣図屏風』(部分)
モザイクのような「桝目描き」という技法で描かれていたのですね。 若冲作品の予習をしていなかったので、まったく知りませんでした。。。
気の遠くなるような、目眩を誘うような作品を前にして、 我が”サンシャイン牧場”の動物たちを思い出してしまい、自分の不埒さに呆れつつ、 ふと、クレーの「パルナッソス山へ」やスーラの作品の絵画技法に通じるものを感じたりして、 個人的に非常に楽しめた一枚です。 それにしても、18世紀の日本画には、すでにこういう多彩な技法があったのですね。。。
最後に、私の選んだ一枚。
『隠元豆・玉蜀黍図』の隠元豆です。
美しい、愛らしい、素晴らしい作品でした。
伊藤若冲は、大胆かつ繊細な表現力と自由な発想力に満ち溢れた、 パワフルな画家だなと思いました。ある意味、ピカソと似ているような気もします。
どしゃ降りの雨の中、千葉まで出かけた甲斐のある、見応え十分な展覧会。 今週末で会期終了なので、ご興味のある方はお急ぎくださいね。
オルセー美術館展 「ポスト印象派」 [Art]
開幕2日目・・・。待ちきれずに国立新美術館へ行ってまいりました。
到着したのは午後2時ごろ。大混雑だろうなぁという予想に反して、 意外にもゆったりとマイペースで鑑賞できる、ほどよい混み具合でラッキーでした♪
パリのオルセー美術館では、名画の多さに圧倒されてしまい、 終始浮き足だった気分でしたが、今回は、予習の成果もあって(?)、 じっくりと落ち着いて鑑賞することができました。
1度目は、丹念に1つ1つの作品を眺め、ひと通り見終わった後、 もう1度入り口付近まで戻って、2度目は、気になる作品をさまざまな角度から、 作品との距離を変えながら・・・。
115作品、10章からなる展示作品によって、印象派からポスト印象派への系譜を辿ることができました。では、私が気になった作品たちをズラリと並べてみます。
ポール・ゴーギャン 『扇のある静物』 1889年頃
セザンヌの静物画を所有していたというゴーギャン。 セザンヌへの敬意が窺い知れる1枚です。 でも、何を隠そう私は、近代絵画の父と称されるセザンヌの絵が、あまり好きではないのです。 その素晴らしさを感じるには、まだまだ修行が足りないのでしょうね(苦笑)
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 『星降る夜』 1888年
この絵を日本で観ることができるなんて!! 正面から眺めるよりも、やや左斜めから観るのが好きな作品です。 なぜかわかりませんが、その方が、煌きが美しく見えるんですよね、不思議と。
フェリックス・ヴァロットン 『ボール』 1899年
木陰から光溢れる空間へ飛び出した少女を俯瞰する構図は、 映画のワンシーンような物語性を感じます。 絵の中に時間の流れを感じさせる、今回とても印象に残った1枚です。
エドゥアール・ヴュイヤール 『ベッドにて』 1891年
なんなのでしょう?このあったか~い幸福感。 肌をくるむ布の感触が伝わってくるようで、まどろみを誘うような心地よい作品でした。
アンリ・ルソー 『蛇使いの女』 1907年
出ました!ルソーの楽園です。 漆黒の肌にキラっと光る瞳のかがやきが、なんとも神秘的です。
そして、本日の1枚は・・・迷わずこの作品です。
ヴィルヘルム・ハンマースホイ 『休息』 1905年
妻イーダの後ろ姿は、まるで静かな息づかいが聞こえてきそうで、ハッと惹き付けられます。 そして、うなじから首、肩へと続く曲線のアンニュイな美しさがたまりません。。。
ハンマースホイの作品は、ゴッホやピカソの全面に押し出すパワフルな力はないのですが、 どこか不安定で妖しくて、見れば見るほど目が離せなくなる、 すーっと引寄せる魔力のようなものを感じます。
ハンマースホイの絵、いつか自分の部屋に飾ってみたいなぁ・・・ なんて、夢のまた夢ですね(笑)
ボストン美術館展 [Art]
「名画のフルコースをどうぞ。」 こんなキャッチコピーに誘われて、本日は六本木ヒルズへ。
フルコースを楽しむには、やっぱりひとりでは淋しいので、 「六本木にてデートいたしましょう」と、小説『センセイの鞄』風に、 ckw友のyukaさんを誘って出かけました。
名画のフルコースは、8章構成。 「肖像画」「宗教画」「室内画」「静物画」などテーマごとに年代順に展示されていて、 47人の巨匠たちの美の饗宴は、まさに西洋絵画の教科書・・・といった企画展でした。
まず”前菜”の肖像画コーナーで、 いきなりベラスケスとマネが隣り合わせで登場するゴージャスぶり。
エル・グレコ、ミレー、コロー、ルノワール、ムリーリョが次々と供されて、 目くるめく眼福に、どっぷりと浸ります。
私のお気に入りの画家、ドガの作品も。。。
エドガー・ドガ『田舎の競馬場にて』1869年
浮世絵の影響を受けたと思われる構図も、日傘のもとで授乳する行為も、 いやはや、なんとも大胆ですな。
さて本展の”メインディッシュ”、「モネの冒険」コーナーへ。
『ヴァランシュヴィルの崖の猟師小屋』 『積みわら(日没)』
半円形に仕切られたこの部屋には、1874~1900年に描かれたモネの作品が、 ズラリと10点並んでいるのです。 期待以上の大盤振る舞いに、思わず「うわぁ!!」と声を出してしまったほど。
『ルーアン大聖堂の正面とアルバーヌ塔』
いやいや、この10点を並べて鑑賞できただけでも、 今回の入場料1500円は、それ以上の価値を感じられる内容だと思われます。
メインディッシュのあとは、爽やかな「風景画」が続き、 ラストはみずみずしいフルーツを描いた「静物画」でフルコースはすべて終了。 個性豊かな作品の数々に、満腹りんで大満足になったのでした。
本日の1枚はこちら。
カミーユ=コロー 『花輪を編む娘』 1866-70年
八頭身の安達祐実ちゃんです・・・(笑) 冗談はさておき、華やかさと対極な渋い色合いと伏目がちな表情には、 静かな神秘性が漂っていて、またしても、コローの類稀な才能に感服いたしました。
さて、眼は満腹になったものの、お腹は空腹状態・・・(汗;)。 そこで、国立新美術館方面へちょっと足を伸ばして、 隠れ家的な可愛いお店、『カフェ・デイジー』にてランチを楽しみました。
このお店、すべての料理がロイヤルコペンハーゲンの食器で供されるのですよ。 でも、決して敷居の高い高級店ではなくて、ランチ1500円也のリーズナブルなお店なのです。
私は、本日のランチメニューの中からチキンソテーのきのこデミソースを選びました。
野菜の味が驚くほど濃くて、体に良いものを食べてるなぁと実感。
見た目、味、量、すべて三拍子揃っていて、しかもゆっくりと会話を楽しめる、 居心地の良さも兼ね備えていて、本当に素敵なカフェでした。
名画のフルコースの後に、美味ランチコースを戴きながら、 たっぷりとおしゃべりに花を咲かせる・・・。 最高に贅沢な時間を過ごせて、大満足な一日でございました。 お付き合いくださったyukaさん、どうも有難うございました。
モーリス・ユトリロ展 [Art]
本日は、損保ジャパン東郷青児美術館で開催中のユトリロ展へ。
モンマルトルの街並みを描いたユトリロの作品は、「これぞ、パリ!」という感じがします。
今回出品された約90点は、全作品日本初公開とのこと。
ユトリロが絵画制作を始めた「モンマニーの時代」~「白の時代」~「色彩の時代」へと続く 作品構成によって、ユトリロの画業の変遷を窺い知ることが出来る展覧会でした。
私が心惹かれるのは、「白の時代」と呼ばれる1907~1914年の作品です。
「ラパン・アジル、モンマルトル」1914年
人物のいない静謐美。微妙にゆがんだ構図のあやうさ。 「白の時代」のユトリロ作品には、なんとも表現しがたい哀愁が漂っています。
サティやロートレックと浮名を流すほど恋多き女であった母、シュザンヌ・ヴァラドン。 そんな母にかまってもらえなかった孤独な子供時代、ユトリロは部屋の隅に落ちている 漆喰を遊び道具としていたのだとか。 その漆喰の質感を再現しようとして、ユトリロは、鳩の糞、卵の殻、石灰などを 絵の具に混ぜ合わせ、独自の白を創り出していったのですね。
今回は、白の時代の作品が少なくて、ちょっと残念でした。。。
こちらは晩年の作品。
「サクレ=クール寺院」 1945年
ユトリロの絵を見ていると、またしてもパリに行きたくなってしまいます。
3年前にパリに行った時、真夏のモンマルトルで迷子になりながら、 やっと辿り着いたラパン・アジル。
バカンス時期だったので、残念ながら店内には入れなかったのですが、 かつて、ユトリロやピカソが通った場所だと思うと感慨深いものがありました。 ラパン・アジルのすぐ近くに、パリで唯一のブドウ畑があったコトも印象に残っています。
今もモンマルトルには、ユトリロの描いた街並みが残っています。。。
やっぱり、今年はパリへ行こうっと!!
美しき人たち [Art]
本日も冷たい雨。外出する気になれず、自宅で書棚の整理などを。
今まで買い集めた画集やポストカードの数々を眺めながら過ごす午後は、 なかなかよいものです。
そこで、本日は私が今まで実際に”お目にかかった”美女達を ご紹介するといたしましょう。
「アンリオ夫人」 ルノワール 1876年頃
このご夫人にお会いしたのは、つい先日のこと。 国立新美術館にて開催中のルノワール展において主役級の存在です。
どうです?この美しさ。 遠くから見ても、光を放っているように輝く白い肌に加えて、 優しさとあたたかさに溢れる大きな瞳。 こんな瞳で見つめられたら、女の私でも ドキドキして身動きできなくなるかもしれません・・・(笑)
こんな美しい女性のご主人は、さぞかし鼻が高いことでしょうね。 彼女のハートを射止めたご主人は、どんな殿方だったのか、 そちらにも興味が湧いてきたりします。
さて、お二人目はシェイクスピアの物語に登場する悲劇のヒロイン。
「オフィーリア」 J.エヴァレット・ミレイ 1851-52年
瀕死のオフィーリアには、2008年の秋に渋谷Bunkamuraでお会いしました。 絵のモデルは、のちにロセッティの妻となるエリザベス・シダル。 どことなく儚く、アンニュイな雰囲気を漂わせた女性だったそうです。
この絵のモデルになった際、長時間バスタブの中でポーズをとっていたシダルは、 ひどい風邪をひいてしまい、彼女の父がミレイに治療費を請求したという逸話が。 そりゃ、大事な大事なかわいい娘だもの。父が怒るのはごもっともです。
でもその甲斐があって、きらきらと川面に揺らめく草花の緑と オフィーリアの死の対比がなんとも言えない危うい美しさを放つこの作品は、 時空を超えて、多くの人々を魅了しつづけています。
それでは、美女シリーズ最後にご紹介するのは、この女性。
「肩をあらわにしたジャンヌ・エビュテルヌ」 モディリアーニ 1919年
いわずと知れた、エコール・ド・パリの寵児モディリアーニの妻ジャンヌです。 2007年の春に、やはりBunkamurミュージアムでお会いいたしました。
モディリアーニの作品は、どちらかというと暗く重い色合いが多いのですが、 このジャンヌは、とても明るい色で描かれていて、ギリシャ神話の女神のような、 あるいはキリストの母マリアのような、慈愛に満ち溢れていました。
この作品は個人蔵なので、なかなかお目にかかるチャンスがないわけで、 もしかしたら、もう2度と会えないかもしれない幻の女性なのです。 人生の中でたった1度しか会えなくても、 一生忘れることのできないほど美しいジャンヌでした。
さて、私が選んだ美しい女性3人の共通点は、色白な肌と静かで無垢な眼差し。 昔から、「目は口ほどにモノを言う」と言いますから、美しい人を目指すなら、 やはり美白に努めること。そして、”口数少なく、静かに微笑む”、これが一番の近道でしょうか。
あ~ぁ、元来よくしゃべる家系に生まれ育った私には、 沈黙を保つというのは、最も難しい行為ですよ~(苦笑)。
静かな微笑みが似合う女性への道のりは、果てしなく遠いように思えますが、 まぁ、あきらめずに、少しずつ心がけることにいたしましょう。
美の饗宴、東西の巨匠たち [Art]
本日は定時に仕事を終えて、至福のアフターファイブを。 勤務先から程近いブリヂストン美術館で、企画展『東西の巨匠たち』を鑑賞しました。
西洋画の影響を受けた日本の洋画家たちの作品、 ジャポニズムの影響を受けた西洋の画家たちの作品がズラリと並ぶ美の饗宴は、 日本人の美意識の高さをあらためて感じさせてくれるものでした。
ユニークだなと思った作品をいくつかご紹介します。
アンリ・ラシュー 「装飾パネル」 1893年
シャルル=ルイ・ウダール「蛙」 1894年
どちらも日本画からの影響を受けたことがひと目で窺い知れます。
西洋では、昆虫や植物を主たるモティーフにすることがなかった時代に、 花鳥風月を愛でる日本人の美的感覚や大胆な構図に、触発されたのでしょうね。
こちらは、是非、某主宰にご覧頂きたい可愛い作品。
オットー・エックマン「五位鷺」 1896年
そして、私にとっての絵画の巨匠といえば、真っ先に頭に浮かぶ御方の傑作。
クロード・モネ「黄昏、 ヴェネツィア」 1908年頃
オレンジと青の補色対比が鮮やかで、ヴェネツィアという街の魅力が、 この1枚からじわじわと伝わってきました。 年々、海抜が低くなっているヴェネツィア・・・。 海に沈んでしまわないうちに、絶対に訪れたい場所です。
では、本日の一枚。
藤田嗣治「猫のいる静物」 1939-40年
典型的な西洋の食材を並べた静物画は、面相筆を駆使して描かれていて、 その技法は、まるで日本画そのもの。 墨のように黒い背景に描かれた鳥からは、パタパタっと飛び立つ羽の音が 聞こえてきそうです。
館内のベリーニの黒い椅子に座り、この絵を真正面から眺める。 ふと左に目をやると、隣の展示室に飾られた、ザオ・ウーキーの「07.06.85」が。 おぉ!なんと贅沢なシチュエーションでしょう。
大好きな画家の作品を2点同時に独り占めしたかのような、 静かな喜びに浸る、至福のひとときでありました。
<天の川> [Art]
某主宰の新ユニット SSRMが、
アニメーションによるプロモーションビデオの制作を企画中とのこと。
絵本作家、今井綾乃さんによる書き下ろしのジャケットデザインが、
ポエジー溢れる素敵な作品なので、PVの方も楽しみですね。
さて、アニメーションといえば、最近気になっているのが、
超長寿番組、<みんなのうた>で流れている『天の川』。
フランス人映像作家、イヴ・ダルビエ氏によるアニメーションがとっても素晴らしいのです!!
色味を抑えた淡く、繊細な表現に、大人のファンタジーを感じます。。。
名古屋で、フジタに会う [Art]
GTコンサートで名古屋に行った際、名古屋市美術館へ立ち寄りました。
地下鉄伏見駅を降りて、歩くこと8分。 しらかわホール近くの白川公園内にその美術館はあります。
園内には、不思議なポーズのウサギさんが。
バリー・フラナガン 『ボールをつかむ爪の上の野兎』
しまった!肝心のボールと爪が写ってませんね・・・(^^;)
園内をしばらく歩くと、美術館がみえてきました。
あれ?国立新美術館とそっくりな建物だと思ったら、この美術館も黒川紀章氏の設計だそうです。 のちほど調べたところ、名古屋市美術館は1988年竣工、新美は2006年竣工ですから、 この美術館のガラスの曲線が新美の原型になったのかもしれませんね。
この日開催されていた企画展。愛知県稲沢市出身の荻須 高徳氏の描いた 洗濯場(オーベルヴィリエ)がポスターになっていました。
この企画展、「人物」「風景」「静物」の3部構成で、 舟越 桂、ユトリロ、スーティン、ザッキンなどを含む約90点の充実した内容でした。
企画展鑑賞後、常設展を見るために、地下フロアへ。 実は、常設展の中に、本日のお目当ての作品があるのです。
まずはこちら。
アメディオ・モディリアーニ 『おさげ髪の少女』 1918年頃
モディリアーニの作品としては珍しく、しっかりと瞳が描かれています。 南仏滞在中に描いたと推測される1枚ですが、この時期、恋人ジャンヌとの間に娘が誕生している のですね。父親としての愛情が芽生え、素直な感情表現が見られる、穏やかな印象の作品で、 名古屋市美術館の代表的な収蔵作品として、グッズもたくさんありました。
そして、この日の本命は、こちらの1枚。
藤田嗣治 43歳 16年ぶりに日本に戻った1929年に描いた自画像です。 生涯、多くの自画像を残したフジタですが、とりわけこの1枚は独自の技法、グラン・フォン・ブラン (素晴らしい乳白色)を生み出し、パリ画壇で成功を収めた自信に溢れる眼差しが印象的です。
エコール・ド・パリを代表する二人の画家、フジタとモディリアーニ。 生前、非常に親交の深かった二人の作品が、こうして同じ美術館の同じフロアに 飾られているのは、なんとなく嬉しいものです。
GTのコンサートで、今年も遠征する機会が何度かあると思うので、 各地でフジタの作品に出逢えたらいいなぁ、と新たな楽しみを発見したバレンタインデーでした。
柴田是真の漆×絵 [Art]
先般、日曜美術館で紹介された 柴田是真の作品を見に、日本橋三井タワーへ。
この日は、超絶技巧と言われた匠の技をしっかりと鑑賞するために、 買ったばかりのミュージアムスコープを携えて出かけました。
さてこの御方、柴田是真は、幕末から明治期にかけて活躍した漆芸家であり、画家。 和紙に色漆で描く「漆絵」を考案し、掛け軸、屏風など数多くの作品を残しました。 今回はその中から、漆工と絵画あわせて約100点展示されていました。
そもそも、漆はねばねばしてますから、和紙や絹に漆絵を描くこと自体、大変難しいのだとか。 いつものことですが、三井記念美術館は、作品解説コメントがとても充実しているので、 とくに予備知識がなくても作品の持つ魅力を十分に感じることが出来るのが嬉しいですね。
それにしても、柴田 是真という御方、ご覧の通りかなりの強面デス。 職人気質で、一筋縄でいかない、さぞ気難しい人だったのだろうと思いきや、 作品に込められた遊び心やまるで現代アートのような斬新なデザインに はっとさせられることもしばしば。
案外茶目っ気たっぷりなお洒落翁だったのかもしれませんね(笑) いずれにしても、もの凄いアーティストであることは、間違いありません。
個人的には、「流水蝙蝠角盆」でバットマンを、 「烏鷺蒔絵菓子器」でエッシャーのだまし絵を思い出し、ひとりニヤニヤ笑ってしまいました。
もの凄いものを見せて貰ったなぁと、という感動を忘れない為に、 今回は、迷わず図録を購入。 作品解説も大変充実していて、”買って損なし”です。
では、本日の一枚。
『南京に飛蝗図漆絵』
漆の枯れた色合い、蔓の繊細な描線、立体感のあるバッタと花びら、 そして、絶妙な空間構成。 どれをとっても超一流の匠の技が光る、素晴らしい一枚でした。
この企画展、今週末で会期終了ですので、お時間のある方はぜひ!!