『薬指の標本』 [Cinema]
ひとが自分から遠ざけたいもの、 不安の種となるものを封じ込めるために 標本はあるのです。
監督:ディアーヌ・ベルトラン 2004年 フランス
小川洋子さん原作の同名小説を映画化したこの作品は、静かで、謎めいていて、 繊細な美しさを湛えた映画です。
冒頭から、メランコリックで美しい旋律の音楽が流れ、 日常から非日常の世界へ誘われるような気分に・・・。
そして標本室の空気感が、なんとも美しいのです。 ヴィルヘルム・ハンマースホイが描いた静けさ漂う室内画を彷彿とさせる、 扉の開き具合や柔らかな陰影。 左右対称の均衡を保っているかのように見えて、 どこかに歪みをはらんだ、あやうさが漂っている閉じた世界。
現実と幻想のあいだを彷徨う主人公イリスは、 赤い靴に囚われて、いったいどこへ導かれるのでしょう?
謎を紐解くために、原作を読んでみるのもいいですね。
ディアーヌ・ベルトランの映像作品、小川 洋子さんの小説、 どちらも、これから要チェックとなりました。
こんばんは。
この映画は知りませんでした。
小川洋子さんの作品は、結構好きでして、
図書館で片っ端から借りてきて読みました。
勿論この「薬指の・・」も。
高校の先輩にあたる方ですが、勿論、
面識はありません(笑)
>標本室の空気感が、なんとも美しいのです
映画は見ていませんが、これはよく分かります。
小川さんの文章のファンというよりは、
他の本からも感じられる、独特の空気感のファン
と言った方が良いかも。
「ブラフマンの埋葬」って、読まれました?
好きかどうか分かれる作品かもしれませんが、
私は好きな一冊です。
by yuka (2009-09-29 00:17)
yukaさま
やはりyukaさんもお好きでしたか、小川洋子さん。
私は「博士の・・・」しか知らず、この映画をきっかけに
俄かに注目した次第です。
>「ブラフマンの埋葬」って、読まれました?
お薦め、ありがとうござます!
小川さんも著作数が多くて、どれから読むか、
迷うところなので、お薦め情報はホント有難いです。
早速、書店にて探してみますね。
by aya (2009-09-30 15:59)
私も原作を読みました。
小川洋子さんは私も高校の先輩にあたる方なので、
一度読んでみようと思った1冊目がこの作品でした。
yukaさんの言うように独特の空気感にビックリしたのを覚えてます。
光の感じや冷やっこい感じ。
埃っぽいさやカビっぽい匂いを感じました。
映画も見てみたいですね。
by ミキ (2009-10-26 18:08)
ミキさま
小川さんが高校の先輩だなんて、いいなぁ。
ミキさんも1冊目にこれを読まれたんですね。
>光の感じや冷やっこい感じ。
>埃っぽいさやカビっぽい匂いを感じました。
私は映画が先になってしまいましたが、
原作も不思議な空気が漂っていて、素敵でした。
映画も光の加減がアンニュイで、すごくキレイなので、
ぜひご覧になってみてくださいませ。
by aya (2009-10-26 22:29)